2017年1月30日月曜日

のぞみ通信 2017年1月26日 第224号

The Golden Rule

寮長 東 晴也

 2017年になりました。どうぞ今年もよろしくお願いします。

 今年は敬和学園にとって特別な年です。敬和学園創立50周年として、様々な企画が用意されています。キリスト教会にとっても特別な年です。ルターの宗教改革500周年です。私たち個人にとっても特別な年ですね。そう自分に残された人生のスタートの年です。
 今、皆さんはどんな気持ちでここに座り、明日から始まる始業に備えていますか?
 すくなくとも私たちは明日、兵隊として戦争に行くことはありません。72年前の長岡空襲のような空爆に怯える明日を迎えることもないでしょう。明日、江戸時代のキリシタン禁制下による踏み絵を踏むかどうか悩む必要はありません。古代ローマ帝国下でキリスト教徒ゆえにコロッセオで処刑されることもありません。明日、生きることができるかどうかの重病人もここにはいないはずです。明日、私たちは何の生命の危険も、危機も、戦争も、信教上の迫害もないのです。明日シリア反政府勢力によるあるいは過激派によるテロに怯えることもないのです。朝起きて、用意された温かい食事をあたりまえのように食べることができます。あるパキスタンの少女のように、学校に行くことを望んだためにスクールバスの中で銃撃されるということもありません。

0126_no01 私たちは、歴史的にまた世界的に見れば、本当に恵まれた環境の中に生きるごくごく少数者の中の一人であることは、明白です。問題は、このような歴史的・世界的に見ても稀な事実を享受しているにもかかわらず、この事実を実感し、感謝することができない私たちの感受性の鈍さないし想像力の欠如にあります。
 友愛館の寮長室の壁に、前寮長の信田先生が残していかれた1枚のプレートが今も掲げられています。それは、英語で「The Golden Rule」とあります。聖書の金言です。その御言葉が、今日読んでいただいたルカ6章31節です。単純なルールですが、これが難しい。このゴールデンルール、小西校長風に言えば「気づかい」でしょう。これは特に女子寮でもよく聞かれる言葉ですよね。榎本前校長風に言えば「思いやり」でしょう。本当にふだん日常に聞き慣れた言葉です。このことがいかに大切か!こんな単純なことが出来れば、日本からはいじめは根絶します。世界からは戦争がなくなります。このような人が今、世界中で求められています。このようなことこそ、ここ敬和で学んで、身につけて卒業してほしい。本当に大切なことは目に見えません。
 47回生は、あとわずかの敬和生活になりました。この学校で学ぶべきこと、学んでいますか?全て学びきって卒業してほしい。そして、48・49回生は、その3年生の姿から受け継ぐべきこと、学ぶべきこと、学んでほしい。それは敬和学園のためにではなく、一人ひとりのかけがえのない皆さんの成長のためにです。

(2017年1月5日 開寮礼拝より)

 

 

 

 

 

 

< 寮生リレー >

のぞみ寮クリスマス

『GIVE』 ~神様からのプレゼント~

礼拝委員O.T (大望館2年 京都府)

 2016年12月10日にのぞみ寮寮クリスマスが行われました。今回の寮クリスマスで僕は礼拝委員として運営に携わらせていただきました。最初に、礼拝委員のみんなで寮クリスマスのテーマについて考えました。話し合いの結果、『GIVE』に決まりました。このテーマには、「クリスマスに神様が私たちにひとり子イエス様を与えて下さった喜びを覚えよう。また、与えられるだけでなく、自らに与えられた賜物を生かして他者へ与えることの出来る人になろう」という意味が込められています。世代交代が行われて間もない中にもかかわらず、一人一人が自分の意見を持って話し合えた結果、スムーズに決めることが出来ました。

0126_no02 また、礼拝では柏崎キリスト教会の中川善悦牧師を講師として招き、『GIVE』というテーマを元にお話していただきました。『神様からのプレゼント』と題されたお話は、中川善悦先生の特技であるパントマイムを交えたものでした。そのため、豪華ディナーを食べ終わり、程よく時間が経ってから襲ってくる睡魔にも負けず、多くの人が中川善悦先生のお話に耳を傾けていました。
 その中でも、全身を使っての天地創造、風船を使ってのパフォーマンスは迫力があり、『GIVE』の意味を無言で私たちに教えてくれているように感じました。会場全体が中川善悦先生の創り出す不思議な世界に包まれていました。
 その他にも、お話の中で先生の経験や体験からGIVEについて考えたことをお話しされました。自分自身が悩み、苦しみの底についた時、人は初めて神を見る。イエス様が共に歩んで下さっていることに気付き、前を向いて生きる力が与えられる。そんな内容でした。礼拝が終わったあとも中川善悦先生の周りはファンの寮生で一杯でした。お話の内容がひとり一人の心に届くものだったからだと思います。
 今回の寮クリスマスは笑顔と学びがとても多いものだったと思います。中川善悦先生との出会いとすばらしい時間を与えて下さった神様にとても感謝しています。

 

 

 

クリスマス祝会でのスピーチ

クリスマスの夜に想うこと

S.A(めぐみ館3年 新潟市)

 47回生は登校日もあとわずかとなりましたね。あっという間の3年間でした。今回はそんな私の寮生活についてお話したいと思います。私は交通手段の都合で1年生の冬にめぐみ館に途中入寮しました。寮に入るのが嫌で仕方がなかった私は、入寮礼拝で不安と緊張とで泣いてしまい、そんな私につられて母も泣いてしまうという恥ずかしい入寮礼拝だったと今でも鮮明に覚えています。

0126_no03 私は入寮した日から日記を書く習慣をつけています。自分の成長を自分で発見できたり、感じたりできるので日記はとても良いです。入寮したばかりの日記には『家に帰りたい』という弱音ばかりが毎日綴られていました。私は、めぐみ館にもともと仲のいい子が少なく、もう出来上がっている47回生の輪に入ることもできず、また新しい環境や生活リズムにもなかなか慣れることができずにいました。しかし、ご飯の前や礼拝の前に『一緒に行かない?』とお部屋のドアをノックしてくれる仲間がいました。そんな仲間のおかげで毎日綴られていた『家に帰りたい』という弱音は消え、寮の仲間とふざけあった出来事がたくさん綴られています。
 そして仲良くなるにつれて、やはり意見がぶつかり合うことも多々ありました。入寮前の私は人に嫌われたくないと、自分の意見や気持ちを言うことをなるべく避けていました。でも、めぐみ館のみんなはそんな私を変えてくれました。ちゃんと私の意見や気持ちを受け止めて向き合い、そしてぶつかってきてくれました。おかげで今こうやって皆さんの前で自分の気持ちを伝えることが出来ています。
 学校で嫌なこと落ち込むことがあったとき、めぐみ館に帰ればみんながいる。ただそれだけで元気になれるのです。そんな第二の家族のような存在を持てたことを私は誇りに思います。また、私が悩みを抱えもやもやしているときは、すぐに事務室に駆け込むのですが、その時は夜遅くまでとことん話を聞いてくれる先生方がいました。本当のお母さんのようにいつも支えてくれて、時には本気で怒ってくれます。
 このような恵まれた環境で2年間過ごせたことを心から幸せだと感じます。いつもは照れて言えないたくさんの感謝をこの場をお借りして言わせていただきました。この思いが伝わっていたらうれしいです。

 

 

 

礼拝のお話より  3年生ラストメッセージ

悩みを聞いてあげられる人になりたい

K.Y(光風館3年 新発田市)

 私は中学生の時、友達とケンカばかりをする等、指導を人より多く受けていました。そんな中、進路相談をしたある日、先生に敬和学園を勧められました。「敬和学園はいい先生ばかりだし、いい人もたくさんいる」と言われ、敬和に入りたいと思い、受験することを決めました。
 ですが、最初は「どうせ合格しないんだから…」と諦めて、あまり勉強しないで面接練習もボロボロでした。でも、友達に「一緒に勉強しよう!」と誘われ、しぶしぶ勉強を始めました。そして、私は敬和に合格しました。
 敬和に入学した時、最初は不安でたまらないし、友達が出来るか心配でした。それに、先生も信用出来なかったです。そんな毎日を過ごしていましたが、こんな自分にも変化がありました。それは、自分から話しかけて、たくさんの友達を作れたことです。それと、もう一つの大きな変化がありました。それは入寮したことです。
 なぜ入寮したかと言うと、将来ひとり暮らしをしたかったし、父親が高校生の時に寮生活を経験していたので、勧められたからです。途中入寮して、自分自身が成長したと感じていることは、洗濯など身の回りのことが出来るようになったことです。さらに、その中でも一番成長したと感じたことは、人に悩みを言えるようになったことです。友達が出来るか心配していた自分、先生を信用出来なかった自分が悩みを言えるようになったことは、とても大きな成長でした。そして、今度は私が悩みを聴いてあげられる人になりたいと思い始めました。
 そんな時に、ある聖書箇所がピッタリ合うと感じました。その聖書箇所は、マタイによる福音書7章12節「だから、人にしてもらいたいと思うことは、何でも、あなたがたも人にしなさい。」です。私が悩みを言えるようになったこと、今度は私が悩みを聴いてあげられる人になりたいと思ったこと。私の敬和生活は、この聖書箇所を経験出来た3年間でした。
 みなさんに伝えたいことは、敬和や光風館には良い先生や優しい友達ばかりだということ。何でも諦めてはいけないということ。努力をすれば成果はきっと付いてきます。そして、光風館のみなさんもこの聖書箇所のような人になってもらいたいと思います。
 今までこんな私を受け入れてくれて、ありがとうございました。

光風館クリスマス ビンゴ大会より

 

 

 

 

ラストなメッセージ ~伝えたい想い~

S.Y(みぎわ館3年 新潟市)

 最近、大学も無事合格したので春から住む家を探し決めたのですが、にぎやかなみぎわ館に慣れているので日に日に一人暮らしが嫌になってきて、行きたくなくなってきた今日この頃です。
 そんな私がここ、敬和学園のぞみ寮みぎわ館に入寮したのは、約2年前の春。2年生が入寮してくる前日の事でした。その日のことは、ただ1つ、私に水道の蛇口のひねり方をじっくり丁寧に教えてくれたN・Y氏のことしか覚えていません。きっとそれが強烈過ぎたのでしょう。
 入寮した当初、私はまだ人見知りが今以上にひどかったのでとても静かでした。なので、入寮してしばらくは知らない人ばかりなので怖くて話しかけられず、何をしたらよいのかもわからなかったので、大体21時30分~22時には寝ていました。しかし『慣れ』とはすごいもので、いつの間にか館の人たちと話せるようになり、自分一人で行動できるようになっていました。きっと47回生がたくさん助けてくれたからですね。ありがとう。
 しかし、慣れたとは言っても入寮したばかりで間違えることは多くありました。そんな中、初めての部屋替えが行われました。まさか入寮したばかりの私と48回生の二人部屋になるわけはないだろうと考えていたら、まさかのそのパターンでとても驚いて不安になっていたのを覚えています。
 一緒になった48回生の子たちにはたくさん迷惑をかけたことでしょう。ごめんなさい。それに、人見知りをするので仲が良くなるにも時間がかかりました。でも、いつも次の部屋替えがある頃にはすごく仲が良くなっていて、とても楽しい日々を送らせていただいていました。ありがとう。
 最近、よく敬和学園で3年間過ごしたかったなぁと思います。その思いは卒業に近づくにつれ強くなるばかりです。きっとほかの子たちに比べて寮で過ごし、生活してきた時間が短いせいなのでしょう。これからなかなかみぎわ館の子たちと顔を合わせることができなくなるのかと思うととてもさみしいです。
 いやなことも大変なこともたくさんありました。でも、こんなに離れがたいと思える子たちと出会い、楽しく幸せな日々を送ることができました。とてもありがたく、幸せなことです。

「満面の作り笑顔」のみぎわっ子

 

 

 

寮生活での変化

考えられない変化

S.H(大望館1年 神奈川県

 私は中学校の時、高校は行く気になれませんでした。そんな私に、母は将来のために高校に行くように言い続けました。その時、ここならいいんじゃないかと勧められたのが敬和学園です。しかし、敬和に行くなら寮生活をしなくてはならないということで、嫌で仕方がありませんでしたが、当時の私に行ける高校はなく、しぶしぶ受験することにしました。
 一回目の一月受験の時、私は新潟まで来ていましたが、ホテルから出ず、受験をすっぽかしました。神奈川に帰り、母に二月の受験は必ず受けるよう言われ、面倒くさいながらも、二月の受験は受けました。でも、行きたくない気持ちは変わりませんでした。
 当日の面接で、私は自分の気持ちを正直に伝えました。「敬和に行きたいかどうかわからない」そう伝えました。正直、高校受験はこれで落ちたと思い、これで高校に行かずに済むと思っていましたが、結果は合格でした。正直、ビックリしました。面接であんなことを言ったのに、合格だったのです。
 受かってから、見学に行きました。見学に行って心配になりました。潔癖症が少しある私は、ここでやっていく自信がなかったのです。
 入寮の日、何故か一月受験当日のように、すっぽかさなかった私がそこにいました。案の定、最初の頃は学校も寮もやめたい気持ちでいっぱいでした。ですが、私と同じ気持ちでいる友人がいることを知り、一人ではなかったと安心してから、少し変わりました。
 正直、今も少し学校に行きたくない気持ちはありますが、楽しいという気持ちもいっぱい出てきました。一年前の私には考えられない変化です。だからやっぱりここに来て本当に良かったと思っています。

 

 

 

教師からの一言

巣立ちを前にして

光風館担任 片岡 自由

 昨年度のこの時期に、47回生から「卒業する46回生をお祝いするために特別な行事を企画したい」との声が上がり、今までで初めてとなる“のぞみ寮お別れパーティ”を開催することになりました。いつもの夕食とは少し違って、3年生からのリクエストに応えたメニューを管理栄養士 五十嵐さん・調理師さんが作ってくださり、風船や色紙で飾り付けられた友愛館に、寮生はもちろん私たち寮務教師も心温まるひとときとなりました。そのパーティの中で、47回生から寮務教師へ「46回生の3年間を振り返るスライドショーを作成してほしい」とのお願いを受けました。時間に追われながら、私が慣れない作業を進めました。時間が迫る中、「みんなに喜んでもらえるように作らなくてはいけない」というプレッシャーを感じていましたが、苦ではありませんでした。何故なら、寮生ひとり一人の表情の豊かさに胸が熱くなり、彼ら・彼女らの成長と変化に感動していたからです。
 今年も48回生からスライドショーの作成を頼まれ、快く引き受けました。47回生の入学・入寮当時の写真を見ると、まだまだ幼さが残り、とても緊張していることがわかります。しかし、毎日の新しい出会いや数多くの行事を重ねていくごとに笑顔を見せ、逞しく頼もしくなっていきました。そんな彼ら・彼女らが早くも卒業・寮修了を間近に控えていることに、驚きと喜びを感じています。この3年間での経験を通して、大きく成長した彼ら・彼女らの活躍に心から感謝し、それぞれの新しい歩みへと気持ち良く送り出したいと思います。
 そして、その大きな背中を追いかけ、越えようとしている48・49回生の姿がここにはあります。彼ら・彼女らが明日どんな表情を見せてくれるのか、どんな活躍をしてくれるのか、楽しみで仕方ありません。これからも共に笑い、共に泣き、ひとり一人の成長を心から喜んでいきたいと思います。2017年もどうぞよろしくお願いいたします