2014年11月25日火曜日

のぞみ通信 No.204(2014年11月19日)

主の御心のみが              
 寮長 信田 智
 
 私はよく生徒に、先生年はいくつですかと聞かれますが、もう定年を過ぎ、本来ならばとっくに退職しているはずの年齢なのです。以前私は10年程教会で牧師をしていましたが、ある時、敬和の初代校長太田俊雄先生から、「敬和の宗教主任が辞めて、後任がいなくて困っている、敬和に来て手伝ってくれないか。」と電話がありました。私は「出身教会の後継者として招かれてきたばかりで、とても無理です。」とお断りしました。
 太田先生には神学生時代1年間キリスト教教育を習ったことがありましたが、そんなに深い師弟関係はなかったのです。その先生が神学校を卒業して10年も経った私に、電話して来られたのですから、よほど困っておられたのだと思います。しかも、時期はもう2月上旬のことでした。  常識的にはそんな時期に突然転任など出来るはずがないのです。
 しかし不思議なことに、この頃私の心の中に何かもやもやとしたものがあったのです。それは「この教会に骨を埋めるつもりで来たけれど、本当にそれでいいのだろうか」と言う迷いのようなものでした。その迷いを吹っ切るために主任牧師と話をしたのですが、私の思いとは裏腹に、その迷いが増幅される結果になり、少しここを離れた方がよいのではないかと判断し、次の宗教主任が決まるまで、敬和学園でお手伝いさせてもらってもいいかなと考え、太田先生の招きに応えることにしました。
 しかし、私は教師になることなど全く考えてもいなかったので、教員免許証など持っていませんでした。そこで、太田先生に「先生、私は教員免許証を持っていません。それでもいいのですか。」とお話ししたところ、太田先生は「教員免許証が教育をするのではない。私はあなたを必要としているのです。」と言われたのです。かっこいい殺し文句にやられ、この先生のために私のできることを全力でお手伝いしようと決心しました。
 太田先生のお手伝いのつもりで来た敬和学園に、何と、37年も在職することになってしまいました。途中何度か、そろそろ潮時かなと思われる時もあったのですが、その時は主が、「わが僕よくやった、もう引き上げていいよ。」とは仰って下さらなかったのです。私は、神さまが「お前の敬和での使命はもう終った」と仰って下さる時が来るまでは、動くまいと心に決めて今まで歩んできました。
 神さまのなさることは実に不思議で、私達には計り知ることが出来ません。骨を埋めるつもりで赴任した出身教会にはわずか2年、次の宗教主任が決まるまでの、お手伝いのつもりで来た敬和学園には、37年もいることになってしまいました。「主は人の一歩一歩を定め、御旨にかなう道を備えてくださる。」(詩編37:23)顧みてまさにその通りであったと思えるのです。私達は自分の思いでいろいろな計りごとをし、それが正しいと思いますが、ただ神様のみ心のみが実現するのです。だから、これが主の御心だと信じたことであるならば、大胆に行動したらいい。もし御心でなければ、主はそのことをも示してくださるに違いない。


寮生リレー通信  (第 117 回)


『コスモスコンサート』

「歌うことの幸せ」
Y.I(めぐみ館 3年 新潟県阿賀野市) 
 去る11月1日、女子声楽部と男子声楽部シュビドゥバーズは、3年生引退となる定期演奏会のCOSMOS CONCERTを開催しました。敬和の在校生、先生方、先輩方、保護者、一般の方々、たくさんの方々にご来場いただき、大盛況に終えることが出来ました。ここまでの道のりは、決して穏やかなものではなく、本当に来てくださる方を楽しませ、自分たちが納得のいくコンサートを作り上げることが出来るのか不安でした。部員の衝突、部活に対する意識の違いなど、私たちは様々な壁にぶつかって来ましたが、それを乗り越え、大会でも金賞を受賞することが出来、演奏会に行った際は聞いて下さった方に喜んでいただけるような演奏をすることが出来るようになりました。
 私たちが歌うことができ、その歌を聴いてくれる人がいることが、どれだけ幸せなことか気付くことが出来ました。この様なことに気付くことが出来、成長する機会が与えられたのも、周りで支えて下さった先生方、友人、保護者の方々、そして歌があったからであり、感謝しています。本当にいつもありがとうございます。私は高校を卒業しても歌を続けていきますが、ここで学んだこと、歌に対する純粋な気持ちを忘れずに、これからの道のりを大切に歩んでいきたいです。最後に、コスモスコンサートにご来場いただいた方々、スタッフをして下さった方々、本当にありがとうございました。来年度の声楽部もよろしくお願いします。


「最後のコンサート」
M.N(大望館 3年 長野県長野市)
 僕は45回生、男子声楽部シュビドゥヴァーズの部長を務めさせていたただきました。今年は僕たちが中心となって作り上げる、第25回コスモスコンサート、今年のコスモスコンサートのテーマは、『Second Family~僕たちが帰る場所~』でした、このテーマは3年生たちが幾度も話し合い決めたテーマで、3年生たちの強い思いが込められています。
 今年のコスモスコンサートは去年にはなかった「ポップス部門」が追加され、ほかにも盛りだくさんな内容となっていました、とくに見どころだったのが「ミュージカル」と「大会報告ステージ」でした。ミュージカルは、個性あふれる部員が個性あふれる役を演じたおかげで、クセありまくりでしたが、笑がいっぱいのミュージカルとなりました。
 大会報告ステージは、僕たちが全日本合唱コンクールで歌った歌を歌いました。その2曲は僕たちが一番練習してきた歌で、一番思いがこもっている曲です。コスモスコンサートで歌ったどんな歌よりもうまいと感じました。練習はやっぱり嘘をつかないんだなと思いました。最高のコスモスコンサートでした。




『大夫浜コンサート』

「感謝を込めて」
I.T(光風館 3年 茨城県龍ヶ崎市)
 太夫浜コンサートにお越しいただいた方、これなかったけど応援してくださった方、本当にありがとうございました。
 僕はこれまでの二年半、たくさんの人に迷惑をかけながらなんとかこの部活をやってきました。部員の誰も僕が最後まで部活を続けられるとは思っていなかったと思います。それでもいろんな人に支えられながら、なんとか引退まで部活を続けることができました。見守ってくれた方、怒ってくれた先輩方、見捨てず辛抱強く付き合ってくれた仲間たちに感謝しています。太夫浜コンサートはそんな感謝を形にして届けたいと思って演奏した、恩返しのコンサートでした。拙い演奏しかできませんが、その時にできる最高の演奏ができたと思っています。
 僕が器楽部で培ってきた全てをもってごめんなさいと本当にありがとうを届けました。少しでも笑顔になっていただけたなら、それに勝る喜びはありません。胸を張って、引退したいと思います。ありがとうございました。そして、46回生率いるこれからのJazz Hornetsにご期待ください!



「部活で学んだこと」
O.Y(光風館 3年 京都府京都市)
 私は3年間の部活動を通して、協力し感謝することの大切さを学びました。
 器楽部では主に、ビッグバンド・ジャズを演奏しています。ビッグバンド・ジャズはその名の通り、大規模な編成で演奏する音楽で、最小編成でも17人を必要とします。そして、吹奏楽や管弦楽とは違い、1つのパートを2人以上で演奏することはめったにありません。そのため、各々に高いレベルの技術力が要求され、自身のパートに責任を持つ必要があります。しかし、その分、バンド全体が一体となって演奏する感覚を体験することができ、ビッグバンド・ジャズ特有の迫力のある演奏ができたときの喜びは大きいです。
 私が部活動を始めたばかりのころは、自分の技術力の向上だけを目標にしており、周りとの協調性が低かったと思います。しかし、ビッグバンド・ジャズでは一体感が最も重要視されます。確かに、個人の技術力も高くなければいけませんが、周りと協力しなければ、美しい音楽にはなりません。例えば、あるパートが主旋律を演奏しているとき、ほかのパートがうるさく演奏してしまうと、どれだけ主旋律がきれいでも台無しになってしまいます。他にも、ドラムやベースといったリズム楽器の音を聞かなければ、全員のリズムが合うことはまずないでしょう。このようにビッグバンド・ジャズを演奏するときには、互いの演奏にアンテナをはり、より良い演奏となるように他人を気遣うことが必要になります。
 部活動での経験は、一人では何もできないということを教えてくれ、何かが上手くいったときにも、そのほとんどが、他の人が気遣ってくれた結果だ、ということを知りました。常に感謝の心を忘れず、協力し合って生きていきたいです。




『敬和を考えている中学生へ』 


「寮ってどんなとこ?」
T.M(みぎわ館 3年 新潟県長岡市)
 みなさんは、寮生活と聞いてどのようなイメージを持ちますか?面倒くさそう、上下関係が厳しい、規制が多い、携帯が使えない不便所、等あまり良いイメージは持たないのでは無いかと思います。私は入寮前はそうでした。しかし、そんなことはありません。断言します!!勿論上下関係や規制が無い訳ではありません。生活をしていく上で必要なルールもありますが、それは私達を縛りつけるためのものではありません。お互いに気持ちよく生活するものです。
 ではそんな寮生活では何を学ぶことができるでしょうか。答えはたくさんあります。気遣い、思いやり、敬語、上下関係、話し合うことの大切さ、正面からぶつかる事もあります。悩む事もあります。しかしそれは寮生活だからこそできる事だと思うのです。入寮しなければ分からない事もたくさんあるのです。
 携帯もPCもTVゲームも必要ありません。目の前にもう話相手が居るのですから。基本的な生活プログラムはほぼ毎日同じですが、3年間過ごしてきた中で同じ日は一度もありませんでした。
 沢山の笑顔、涙、悩み、話し合い、そして何よりも思いやりで出来ている寮。入寮前は不安や迷いがありましたが、今は入寮した事を後悔していません。むしろ本当に感謝しています。3年間はあっという間です。人との関わりの中で大きく成長する事間違いなし!!今までは知らなかった自分、深く関わるからこそ見えてくる相手の良さに気が付く事ができました。


「仲間たちと過ごす時間」
H.M(みぎわ館 2年 宮城県気仙沼市)
 最近心の底から思いっきり笑ったことありますか。心の底から思いっきり怒ったことありますか。心の底から思いっきり泣いたことありますか。寮生活というものは、嫌でも人と関わらなければできません。
 家では、学校で嫌なことがあった時一人きりになる事ができたかもしれませんが、寮ではそうは行きません。悩みがあっても仕事はしなければならないし、相性の合わない人ともつきあっていかなければならない。その中でぶつかり合いが起こって苦しい思いもするかもしれません。でも、うわべだけの仲ではなく、心の底から思いっきり本心をぶつけ合った友だちは、かけがえのない『仲間』になるのです。そんな仲間たちなら、一生かかっても切れない絆が生れるのではないでしょうか。
 高校生でいられる時間はとても短いものです。長い長い人生の中のたった3年間、その短い時間を、思いのままをぶつけられる仲間たちと過ごす。それってとても素敵なことだと思いませんか。





<もう一つの寮体験>
 去る10月29日(水)から31日(金)までの3日間、学校から小田中教頭と狩野教務主任が寮体験で大望館に来てくださいました。
 これまで、学校の研修の一環として寮体験に来てくださった先生は何人もいます。そのほとんどは若い先生方でした。今回は教頭と教務主任という学校の中でも中心を担っている先生方が来てくださるということで、大望館生達はどんなおもてなしをするか考えました。先生方に最高の想い出を残してもらおうとしたのです。
 男子寮生45名、色んな案が出されましたが、最終的にスウェーデンの伝統的な食べ物「シュールストレミング」でのサプライズおもてなしをしました。シュールストレミングとは、この時期に食べられるニシンの塩漬けで、スウェーデンでは日本のくさや的な存在だそうです。その強烈なにおいから「世界一臭いたべもの」と称されています。
 後日、両先生方もその時の様子を楽しそうに語っていました。彼らの願いが叶い、想い出に残る寮体験となったようです。その時の実行委員長の文章を紹介します。



「Welcome to 大望」
K.S(3年 宮城県大崎市)
 この感動をより深く表現するために、以下より倒置法を駆使してお話します。気分が悪くなったら飛ばしてかまいません。
 少し前に大望館に来られました、小田中教頭と狩野教務主任が。僕たちは知ってました、先生方が来ることを。そこでサプライズにと、考えました、缶詰を買う計画を。その缶詰は世界一でした、臭いが。かの有名なシュールストレミングさんです。臭いを数値で表すと、数倍もあるのです、焼きたてくさやの、納豆の・・・。5000円という値段でしたが、皆で少しずつ集めて注文することになりました。Amazonで。
 先生たちは何も面白くない平和な一日を過ごしました、大望に来てから。僕たちは内緒にしてました、シュールストレミングのことを。二日目の夜、なんの説明もないまま連れ出しました、外に・・・。あまりにも危険だからです、屋内だと。
 ついに、実食!!生ごみの溜まったポリバケツの最下層のような臭いがしました。ナウシカの腐海みたいな感じです。
 先陣をきった小田中教頭・狩野教務主任は、怒り狂ったオームみたいになりました。僕たちもなりました。興味をもってもらえたら幸いです。レッツシュールストレミング!



寮務教師から一言
 あの暑さからあっという間でした。冬って本当にやって来るのか?あの時はそんなことを考えていましたが、ここ数日で急に冷え込んできました。雪とは縁のない地域で育った私は今年は多い年かと毎年楽しみにしてしまいますが、昨今の異常気象によるキャンパス内に降り積もる雪の少なさには驚くばかりです。子どもたちと一緒に作るかまくらを今年は披露できるか?しかしその一方で、雪の多さに悩まされる方々がおられることも忘れずにその日を待ちたいです。
寮務教師 澤野 恩