2013年1月21日月曜日

のぞみ通信 No.186(2013年1月16日)

< 続 再 生 >
寮長 信田 智
 
作年の8月号(のぞみ通信173号は182号の誤り)再生で、「我々男子寮務教師は、腹を据えて寮内外の整理整頓に気を配っていかなければならない。男子寮がきれいに再生され、『自主・自立・自制・思いやり』の精神がしっかり根付くように、自らを再生して行きたい」と記したが、秋のオープンスクールに向けて、寮の教師達は本気で取り組みを始めてきた。そして、自分だけでは見落としがちな所を、他の館の教師達と共に点検し合い、積極的に美化に務める事を始めた。
 その結果、男子寮は以前に比べとてもきれいになり、いつ、お客様がこられても大丈夫ですと言ってくれるようになった。大きな変化は、今までは大掃除をしてきれいにしても、その状態は1日しか持たない。とぼやいていたが、その状態を保つ事が出来るようになったことであろう。思うに、教師がその気になって、自ら継続して努力していけば、寮生はそれにしっかり応えてくれるということである。それと我々が、きれいさの基準をどこに置くかである。これ位で良いだろうというところに基準を置けば、それ以下になり、これ以上は出来ないという所に基準を置いて、やっと合格する位である。
 私たちはついつい言い訳をしたくなる。その言い訳には確かに一理ある。しかし、言い訳からは何も生れてこない。ただみっともないだけである。言い訳をやめ、如何にその現実を打破するかを考え、具体的な手を打っていくかが大切なのである。そうすると、不思議と道は開かれてくる。しかし、それも一人では早晩行き詰まるであろう。そこにチームワークが必要になってくる。幸い寮務教師は少人数である。毎日顔を合わせているので、別に大上段に構えて会議を開かなくても、お互いの意思を伝え合う事は出来る。この恵まれた状況を最大限に活かして行きたい。
 男子寮をきれいに再生する事から始まった再生プログラムは、寮務教師全体の再生に一歩踏み出したと言える。少人数であるが故の馴れ合い、また、少人数であるがゆえに、一度食い違うと逃げ場のない閉塞感に捉われ、抜け出しがたい泥沼に入り込む事もある。そこでも言い訳はいくらでも出来る。しかし、言い訳からは何も生れてこない事を肝に銘じ、寮務教師自らが再生して行く姿を示していければ、寮教育全体の再生につながるであろう。
 とは言え、我々は自ら再生しようと思ってもその力が無い。己の無力さの中に打ちひしがれるだけである。ではどこからそのエネルギーが与えられるのか。イエス・キリストの十字架と復活による新生こそ、その力の源である。十字架の死は、暗黒と絶望以外の何ものでもなかったが、神はその暗黒と絶望を切り裂いて、驚くべきイエスの復活という出来事を引き起こされた。神は、絶望の先に、希望の朝を備えてくださっているのである。ここに私たちの希望の根拠と、真の再生への道がある。




寮生リレー通信  (第 102 回)

「 大嫌いだった寮  3年間の寮生活をふり返って 」 
K.K.(3年生:埼玉県さいたま市)
 寮が大嫌い。これが私のすべてだった。
 まず、敬和に入学したこと自体、どんなに考えても理由が見つけられない。2月の入試で、初めて敬和学園にやってきた。全く興味がなく、入学する気なんて少しもなかった。こんな寒くて雪がいっぱいな田舎に誰が来るもんかとさえ思っていた。親戚に言われ、とりあえず受験だけするはずだった。地元の私立高校に合格していて、進学先はあったのだ。しかし、気づいたら敬和にいた。
 そして、入寮日から私は大号泣した。挨拶、セリフ、部屋の仕事、先輩の仕事を代わる、電話ダッシュ。意味が分からなかった。毎日どうやったらここから逃げられるかということばかり考えていた。嫌で仕方がなかった私は、2週間泣き続けた。泣き続けた結果、“涙が枯れる”というものを体験した。泣かなくなっても、寮が嫌いなことには変わりはなかった。
 後輩が入ってきてから、自分の仕事、責任の重さや上手くできない自分に耐えられず、体調を崩しやすくなってしまった。それでも、辞めるという選択肢は自分の中になかった。それは、自分一人ではなく、周りに仲間がいることに気付けるようになったからだったと思う。仲間の存在を感じることで寮を嫌いではなくなっていった。
 卒寮を目前にした今でも、寮より家が好きで、家に帰りたいと思うことはある。しかし、それは寮にいたくないから、逃げ出したいからではない。あんなにも嫌いだった寮で3年間も暮らしていたことに驚き、実は大切で、好きな場所になっていたことに気付き、さらに驚いた。自分の変化、成長を感じることができた。
 敬和生活を送れて、のぞみ寮で生活することができて、私は、今とても幸せだ。



「 クリスマスキャロル 」     
H.S.(2年生:新潟県燕市)
 キャロリングという言葉を聞いた事がある人はクリスチャンの方なら少なくないと思います。しかし、「聞いた事無いな」と思う人も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。キャロリングとは、クリスマス・イブにキリストの生誕を、讃美歌を歌って告げ知らせること。または、キリスト教国におけるクリスマスの行事の一つで、子供たちの聖歌隊が家々を回って、戸口で聖歌を歌い、その家の人からお菓子をもらったりすることを言います。
 年が明ける少し前の12月中旬に、僕らは少し早めのキャロリングを行いました。もちろん、ただ適当に集まって歌うようなことではありません。「キャロリングをやりたい!」という人達で数週間にわたり練習がありましたが、そのメンバーの誰からも「元気よくハーモニーを届けよう!」という気持ちが伝わってきたように思います。部活等で忙しく、キャロリング本番の全てには参加できなかったのですが、訪れた教会の人達から手作りのプレゼントやお菓子の詰め合わせを頂き、真冬にも関わらずとても暖かい気持ちになりました。
 のぞみ寮でのキャロリングは毎年行われています。こんな貴重な体験ができて、本当に感謝しています。来年も参加してみんなと歌を歌いたいと思います!



「 入試労作をして 」    
T.Y.(2年生:愛媛県今治市)
 私は今回の入試で、入試労作をさせてもらいました。1年生の時も、オープンスクールや1月の入学試験の労作をさせてもらいました。そこでの出会いや体験がとても楽しく、もう1度入試労作がしたいと思ったので応募しました。
 そもそも1年生の時に、私がなぜ入試労作をやろうと思ったのかを説明します。私は入学試験当日まで、新潟なんて来たこともなかったし、入試事態に緊張していたので、不安で仕方ありませんでした。そんな私に入試労作をしていた先輩方は、すごく気さくに話しかけてくれ、すごく救われた気持ちになり、落ち着いて試験を受けることが出来ました。おかげで敬和に合格することができ、入学した時に私を案内してくれた先輩と再会でき、「Yは、あの時こうだったね。」と話してくれ、すごく暖かい気持ちになった事を覚えています。この「繋がり」ってすごく良いなと感じ、機会があれば、入試労作をして、私と同じ様に不安になっている受験生たちに、先輩方がしてくれたことをしてあげたいと思ったからです。
 入学して最初に入試労作が出来ると決まった時は、嬉しくて仕方ありませんでした。ところが、初めてやったオープンスクールの労作は、すごく忙しく、想像以上に大変なことが多かったです。オープンスクールでこの忙しさなら、入試はもっと大変だろうと不安になりました。先輩達は、この大変さの中でも私に、気さくに話しかけて下さり、改めて本当にすごいと感じました。私もそんな先輩達に憧れ、自分なりに頑張ろうと決意し、再び私は入試労作に臨みました。
 受験生の不安を取り除くことができたのかは分からないけど、1年生の頃よりも、私は「受験生の立場」で行動することが出来たと思います。私はこの2年間、入試労作をさせて頂いた感謝の気持ちと、すごく良い経験をさせてもらいました。自分の至らない所は沢山あったと思うけど、私自身の成長にもつなげられる素晴らしい機会にもなりました。



「飾り付けで得たもの」      
T.R.(1年生:大阪府堺市)
 毎年冬になると、のぞみ寮では“寮クリスマス”という行事が行われます。そして、その飾り付けは、その年の一年生が担当することになっているのです。今年は『ワールドクリスマス』という大きなテーマの下、4館がそれぞれテーマに沿った飾り付けをする中、僕のいる光風館は“日本+カナダ”というテーマで飾り付けを行うことになりました。
 飾り付けの準備は当日の何週間も前から始まり、我らが光風館は中々やることが決まらず、4館の中で一番遅く準備を始めました。しかし、やることが決まった直後に、さすがにやばいと皆が思ったのか、いつも以上の結束力を発揮し、てきぱきと役割を分担して、素早く準備を始めました。いつもは何かとバラバラな光風生が、こんなにも結束して動くのかと、少し自分でも驚きました。
 その後もなかなか下書きが完成しなかったり、毎晩遅くまで絵の色塗りをして、寝れなかったりと色々大変な事がありましたが、作品はなんとか期限ギリギリに完成しました。完成した時は、ホッとして皆の顔がほころんでいたのがとても印象に残っています。そんな苦労のおかげか、寮クリスマスの当日はとても盛り上がり、思い出に残るイベントになりました。
 今回の飾り付けで、光風生の絆がさらに深まった気がします。ぜひとも、来年の新一年生にもこの飾り付けを経験してほしいなと思います。




< ひとこと >

 2013年のぞみ寮は、天候不順などで交通機関が遅れるなどの影響もなく、静かなスタートでした。1年生も2回目の長期休みでしたが、友人との再会にはしゃぐ事も無く、少し落ち着いたように感じました。始業してすぐに来年度の入学試験があり、生徒は3日登校して4連休でした。3年生は1月末から自宅学習期間に入るので、寮を離れる準備が始まります。3年間寮生活を乗り越えた達成感は、段ボール箱には収まらないくらい沢山の思いが詰まっていることでしょう。
 各館で3年生が礼拝で自身の歩みを振り返ったメッセージを話してくれ、後輩たちはその姿勢や思いを受け継いでいくことでしょう。2月からは1,2年生だけの寮生活が始まります。1年生は先輩になる準備、2年生は最上級学年へと、進級に向けての歩みが待っています。
 保護者の方々には、お子様の大切な3年間をのぞみ寮に託して下さり、信頼し、支え続けてくださっている事、本当に感謝申し上げます。
 2013年も、みんなが元気で大きく成長していくことを祈りながら、寮務教師一丸となって寮教育に取り組んでいきたいと思います。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
寮務教師主任:帆刈仰也