2012年6月29日金曜日

のぞみ通信 No.181(6月20日)

< 雑巾がけ >
寮長 信田 智

 教室や廊下を雑巾がけすることはある。しかし、グラウンドを雑巾で拭くことはほとんどないだろう。ところが、敬和ではグラウンドを雑巾がけすることがしばしばあった。それはフェスティヴァルの時に見られる光景である。この時期は、梅雨時でありよく雨が降る。フェスティヴァル当日も朝方まで雨が降り、グラウンドは水浸し。とても外の競技が出来る状態ではない。今まで何度そんな経験をしてきたことであろう。
 そういう時は、早朝から寮生の有志が、バケツと雑巾を持ってグラウンドに集合し、グラウンドの雑巾がけを始める。そして、何とかフェスティヴァル開始までに外の競技が出来るようになる。始まってしまえば、後は多少雨が降ろうが、もう覚悟は出来ているからじたばたする事はない。雨天対策でプログラムの変更をしてフェスティヴァルは無事エンディングを迎えるのである。
 ある時、梅雨の真っ只中で、天気予報はフェスティヴァル当日も大雨の予報が出ていた。Tu先生が、「敬和には牧師が4人もいるのに、神様にお願いして雨がやむようにしてもらえないのか。」と言い出した。私は、今まで自分の都合で天気の事を神様にお祈りした事はほとんどなかった。なぜなら、私が晴れを願っても、雨を願っている人がいるかも知れないし、雨であれば雨の中から得られる恵みが多くあり、晴れれば晴れの中から得られる恵みもある。天気の事は、神様の御心のままに行われるのであるから、お任せするのが一番だと思っていたからである。
 しかし、私の神様がこけにされる事は許しがたいと思い、初めて、神様に天気の事で真剣になって祈った。前日まで激しく雨が降っていたが、当日の朝は曇り空であった。グラウンドに雑巾がけをして、フェスティヴァルが行われるまでに回復した。ところが、途中から気温が上がり、日が照り出して強烈な熱さに見舞われることになった。
 やがて、フェスティヴァルが終わって、例のTu先生が今度は、「こんなに熱くしてくれとは頼まなかったのに」と言い出した。旧約聖書の出エジプト記には、モーセに率いられてエジプトの奴隷から開放され、大喜びしていたイスラエル民族が、旅の途中で食糧の危機に直面したとき、「自由なんかいらなかった。エジプトの奴隷のままで、肉鍋を囲み、パンを腹いっぱい食べる事が出来た方が良かった。」と不平を言った故事を思い起こした。実に我々人間は、何千年経っても同じような事を考える生き物である。
 天候に関しても様々なドラマを経験しながら、感謝すべきことに私が敬和に来て以来35年間、雨でフェスティヴァルを中止した事はなかった。(ただ一度だけ、どしゃ降りのため、体育館の中で一部のプログラムだけを行った事があるが、中止にはならなかった。)今年も雨に見舞われながら、雑巾がけをしないで、恵みのうちに素晴らしいフェスティヴァルとなったことを感謝したい。




寮生リレー通信  (第 97 回)


【光風館】  
「フェスティヴァルを終えて」 福島県 喜多方市出身  1年 U.R

 自分がこの敬和学園に入学しようと思った理由の一つは、敬和のフェスティヴァルに参加したいという思いを持っていたからでした。敬和学園を知ったのも、知り合いの人のフェスティヴァルの写真を見せてもらったからです。実際に、連合が決まって活動が始まり、「絶対にやりたい!」と思っていたダンスをできることになったときは、すごくうれしかったです。フェスティヴァル本番までの期間、連合の先輩方とダンスの練習をする毎日がとても楽しくて、一日一日が自分にとってはフェスティヴァルのような感じでした。
 フェスティヴァルの一日目の演劇は、プロの劇団が演じているかのような内容で、すごく面白かったし、すごかったです。合唱はどの連合が上手いとかよくわからなかったけど、どの連合も迫力があってすごかったです。
 フェスティヴァルの二日目は、運動会みたいで競技をしている時も楽しかったし、二・三年生の競技を応援するのも楽しかったです。一番楽しみにしていたダンスも間違えることなく、楽しく踊れました。結果は残念だったけど、みんなと協力して踊ることのできたダンスはすごく達成感があって気持ちよかったです。
 校長先生が言っていた「フェスティヴァルはただの思い出作りじゃない」という言葉を聞いて、考えさせられました。来年の目標は、またダンスをして、今度は1位になることです。再来年の目標は、総合チーフになって、優勝することです。そのためにも、これからの毎日の学校生活、寮生活、部活などを一生懸命に取り組んでいこうと思います。



【みぎわ館】 
「フェスティヴァルを振り返って」 栃木県宇都宮市出身  3年 K.M

 私は今回のフェスティヴァルで、富士連合の総合チーフをさせて頂きました。フェスまでの2ヶ月、本当にいろんなことがあり、体一つでは足りない!と思うほど、忙しい毎日でした。総合チーフになった当初は、毎日何をしていいのか分からず焦っていました。しかし時間を重ね、仲間と協力していくうちに、冷静に忙しい毎日を送れるようになっていきました。それが出来るようになってから、放課後が待ち遠しくてたまりませんでした。最後の最後には自分が忙しいことに慣れてしまい、フェスティヴァルが終わった今、時間ってこんなにあったのか!と感動の連続です。時間をどれだけ有効に使えるか、いかに要領よく多くの物事をこなせるか、考えながら生活する事が出来るようになりました。フェスティヴァルまでの忙しかった毎日は、私の成長に繋がる練習のようなものであったと感じています。
 もちろん、連合活動は楽しいことばかりではありませんでした。自分の思い通りになるわけではなく、ぶつかり合う事も多々あり、それぞれのチーフも進みが悪い事に頭を抱えました。しかも1度や2度の話ではありません。1つ問題が解決しても次が控えていて、問題は絶えることはありませんでした。「そういうものなのか」と、広い心で受け止めないとやっていけない。そう思ったのです。今まで主観的に物事を見ていましたが、もっと客観的に物事を見てもいいのではないか?と考えさせられました。沢山のことを身につけ、多くの人の特性を知り、言いたいことは言う事、聞くことの大切さを学び、尚且つ楽しむ事を重視して、エンディングの時には「このメンバーでやってよかった」と思えました。それだけではありません。1年生が「富士連合っていいよね」と言っているのを聞きました。これこそが私たちにとっての、フェスティヴァルの正真正銘の成功だと思いました。
 あんなに2か月間もフェスティヴァルに追われて、早く終わって欲しいと言っていたのに今となっては、辛かったことも全ていい経験だったと思えます。まさにその中にいるときは苦に思っていても、後々振り返ってみれば全てが自分のためになっているということを、今回のフェスティヴァルを通して気付きました。
 2012年のフェスティヴァルで私は大きく4つのことを学びました。感謝・成長・成功・経験です。このことを忘れずにこれからの生活にも自分の将来にも生かしていけたらと思います。そして自分1人では何もなしえない事、だけど仲間や周りの人たちの協力や支えが成し遂げられる力になるという事を、今回体験することが出来、それを通してこの4つの事に気付く事ができました。連合の仲間たち、他連合の人たち、本部の方々、先生、両親、私の周りにいてくれる全ての人たち、多くの人への感謝なくして、今回のフェスティヴァルは語れません。みなさん、本当に大きなお支えをありがとうございます!




【大望館】
「フェスティヴァルを終えて」  神奈川県相模原市出身 3年 T.J 

 フェスティヴァルを終えて自分の弱さに改めて気が付かされました。フェスティヴァルは総合チーフだけが頑張っても成功させることはできません。 三年生全体が下級生を引っ張りそして一、二年生の協力があって初めて成功させることができます。
 最初弱さに気付いたと書きましたが、別に悪い意味の弱さではなく逆にいい意味での弱さだと考えています。フェスは自分一人の力では成功させることはできないし、つくりあげることもできません。だからみんなで協力し支え合いつくりあげていきます。もしひとりの力でそれが出来てしまうなら、それはもちろんすごい事ですがちょっとさみしいと思います。 一人じゃできないからみんなで頑張る事が出来る。協力して作り上げることができる。成功させた時に一緒に喜ぶことができる。弱さのおかげで、そういうことってできるんじゃないかと思います。そんなみんなで悩み、支え合い、喜び合うことの出来たフェスは、自分の中で凄くいい経験になったと思います。




【めぐみ館】
「フェスティヴァル本部に携われて」 新潟市東区出身  2年 S.Y

 私は、行事が嫌いです。昨年は、フェスティヴァルに全く関われなかった程です。しかし、今年は、せめて違う形で関わろうと、フェスティヴァルの裏方「フェスティヴァル本部」をすることを決めました。
 「フェスティヴァル本部」は、フェスティヴァルの企画運営をし、各部門チーフへの連絡、連合活動後の片付けや違反行為のチェック、その他の雑務などを本部員の方々と行います。総合していうならば、フェスティヴァルの土台作りと言えるでしょう。
 本部員をやるのは初めてで、分からないことだらけでした。私は、行動がゆっくりなので、先輩方や同級生、先生方にもたくさん迷惑をかけてしまいました。今までにないくらい忙しく、毎日が充実していました。新しい友達ができたり、本部Tシャツのデザインをさせてもらったりと、楽しいこともたくさんありましたが、反対にうまくいかずに嫌なこともありました。特に、リハーサルでは、本部員として上手く動けず、自分がなぜ本部員をやろうと思ったのか分からなくなって、悩んだり考えたりした日もありました。
 しかし、本番を迎えてみて、今まで本部員の方々とやってきたことが無駄ではなかったことと、これからに活かしていけることが分かって嬉しかったです。また、連合活動では経験できない裏側の苦労や、本部員に必要とされる「臨機応変」についても少し学べた気がします。今となっては、フェスティヴァル終了後の夜7時までやった後片付けも、不思議と楽しかったです。本部をやってよかったと思います。
 今年の春、退職された西村先生が「フェスティヴァル本部は良い経験になる」とおっしゃっていたことが良く理解できました。来年も、私はフェスティヴァル本部を絶対にやります!




「のぞみ寮物産展へのご献品感謝」
寮長 信田 智

 今年はPTA・同窓会のバザーがなくなり、ゆかり会と、のぞみ寮だけに縮小されました。場所も体育館が閉鎖され、外にテントを張り、露店での販売となりました。そのような中でも、多くの保護者の方々から沢山のご献品を頂き、にぎやかに物産展を催すことが出来まして感謝いたします。ご献品くださったうえに、送料までご負担いただき、まことに有難うございました。
 フェスティヴァル2日目。雨が降ったりやんだり、肌寒い1日でしたが物産展の会場は、グラウンドへの通り道で、多くの保護者の方々、卒業生、オープンスクールに来てくれた中学生達と触れ合う事の出来る、恵みの場となりました。おかげさまで売上の方も順調に伸び、約23万円ほどにもなりました。寮教育のために感謝して用いさせていただきます。重ねて御礼申し上げます。




< スタッフから一言 >

 アジサイの花がつぼみを付けて初夏の訪れを知らせてくれています。2012年度のフェスティヴァル、雨に見舞われながらも、無事に終えることが出来ました。のぞみ寮生それぞれに仲間と共に暮らしながら、お互い良きライバルとして日々、練習に切磋琢磨していました。友情を通して、それぞれに一段と大きく成長している姿がまぶしく映る今日この頃でございます。
 この様に寮生活が支えられていますのも、ご家族の皆様からの温かいご支援と、祈りに支えられていますこと、このフェスティヴァルが守られていたことを通して改めて痛感いたしました。スタッフ一同、心より感謝申し上げます。それでは前期の締めくくり7月に向けてより素晴らしい学園生活、寮生活が送れますように。
榎本かな(めぐみ館担任)