2012年5月23日水曜日

のぞみ通信 No.179(4月20日)

 「求めなさい」

寮長 信田 智
皆さんは今どんな思いでここにいますか。おそらく、皆不安で一杯だと思う。敬和が第一志望で、なんとしても敬和にきたかったという人もいれば、自分はこんなところに来る筈ではなかったと、失意の中にいる人もいるかも知れない。また、なんとなくここしか来る所がなかったという人もいるでしょう。皆OK! 実は、ここにはいろいろな人たちが集まっている。みんな別々で、いろいろあっていいのです。皆大切な一人ひとりなのです。なぜなら、皆神様に愛されてここに集められた一人ひとりだから。
 大概の人は、必ずと言っていいほど一度は挫折する。悩みのない人なんていない。悩みや挫折があるから成長できます。ここには、楽しい仲間がいる。自分の事を分ってくれる素敵な仲間が見つかる。行き詰まりや挫折を通して、本当の仲間が出来てくる。だから、挫折こそ寮生活の本当の出発点と言ってもいい。ゆっくり時間をかけて素晴らしい仲間を見つけていこう。

 テレビで、土曜日に,なんでも鑑定団と言うのをやっている。私は好きでよく見る。中には、何百万円もかけて手に入れたお宝が、鑑定団に鑑定してもらったとところ、何の価値もない偽物であったり、ガラクタであったりする。一方、数万円で手に入れた品物が、実は何百万円もするお宝であったり、中には建て替えのために壊した家からとてつもないお宝が出てきたりする。悲喜こもごも、とても面白い。

 昔聞いた話ですが、骨董品の鑑定をする力を養いたいと弟子入りした青年が、毎日家の中に飾ってある壷や、置物や、掛け軸が汚れないように手入れしたり、庭のガラクタの整理をさせられるばかりで、何年経っても少しも鑑定の仕方を教えてもらえない。彼は、こんな所にいても鑑定士にはなれないと思い、師匠に「自分はもう何年もここで働かせてもらっているが、何も教えてもらえないので、上達できません。辞めさせてください。」と言ったのです。すると師匠が、「そうか何も学べなかったか、お前が毎日当たり前のように見て、手に触れてきた、ここにある全ての物は、実は大変価値のある宝物だったのだ。だから粗末に扱わないようにと言ってきたはずだ」と言われたのです。

 毎日同じ事の繰り返し、息が詰まるような不自由な生活、こんな所にいても自分探しは出来ない。どこか別なところに行きたい。と思うようになる人も出てくる。しかし、のぞみ寮の何気ない生活、実はここに驚くべき宝がちりばめられています。どんなに素晴らしいものがあっても、自分で求めなければ与えられない。自分探し=自分が自分らしく、生き生きと生きる道を探す事です。

 「誰でも、求める者は与えられる。」なぜなら私が何十年も、信じて仕えて来た神様の約束は、真実だからです。
2012・4・3 45回生入寮礼拝より




< 45回生 代表挨拶 >

K.N(めぐみ館)
 私は、新潟市南区臼井中学校から来た、K.Nです。入寮礼拝という場で、こうして前に立って挨拶するのはとても緊張しますが、皆さんが温かくて優しいと伺っていますので、頑張ります。
 私が寮に入ろうと思ったのは、姉が寮生で、帰って来るたびに楽しそうに寮の事を話していたからです。
 最初は寮生活って辛くないの?一人部屋じゃないのは寂しくなくて良いと思うし、テレビも見なくていいけど、パソコン使えない事もあるって嫌だなあ、と思いました。
 洗濯しなくちゃいけないし、電話ダッシュなるものもあるらしいし、ずっと寝ていられないし、私には無理!やっていける気がしない!姉だから別に寮でも平気なんだろうと、思っていました。それに、家に帰って来て泣いたりしていて、そんなので楽しいの?と疑問に思っていました。
 でも、帰って来るたびに、「高校生活楽しんでます!」って感じで、「そんなんで楽しいの?」と言う私の問には「寮生活してみないと、わからないの!」とニヤニヤしてました。いつも楽しそうに話す姉を見て、そんなに楽しいのなら、私も入ってみたいと思うようになりました。その決断を伝えると、家族は勿論全員大賛成してくれました。姉には「今の生活だとすぐ泣くわ!」もう一人の姉には「顔洗う時間あるの?」、母には「掃除洗濯の大変さがわかるかな?」父には「ちょっとは早く寝るようになるかな?」と言われました。
 これからの寮生活では我がままな生活態度を直し、人の話しに耳を傾け、周りに迷惑を掛けないように気を付け、みんなに気を配れる思いやり行動をし、素直に謝ったり、ありがとうと感謝できるように、仲よく楽しく生活したいです。  両親は「敬和学園の寮生活、3年間は一生の宝になる」と言っています。先生方、先輩方、友だちとの繋がりを大切にし、大事に育てていきたいです。
2012・4・3 45回生入寮礼拝より






< 入寮によせて >

S.C様(大望館保護者)
  昨年3月11日に起こった東日本大震災、また震災に伴う原発事故で、日本中の人々が悲しみと不安と混沌とした日々を送ってきました。一年経ち、まだまだ多くの乗り越えなければならない問題が、被災地だけでなく、それぞれの場所で見えてきているのではないでしょうか。
 そのような中、新しく大きく一歩を踏み出そうとする45回生として、入寮を許されました子どもたちと共に、私たち保護者もまたこの場に集うことが出来ました。我が家から敬和学園にお世話になりますのは三人目です。この春に42回生として次男が卒業し、45回生として三男が入学します。また私も、31年前のこの日に14回生として入寮礼拝に臨んでいました。
 敬和の数ある行事の中で、一番しんみりとするのはこの入寮礼拝のように思います。私たち親にとってこの礼拝が終わり、子どもたちと別れて過ごす最初の夜、子どもたちは初めて味わう空気の中で、あのベッドの緑のカーテンをシャーっと引いた後の一人きりの空間。卒業をしました42回生の息子は、その最初の夜を爆睡できたようですが、31年前の私は「どうしよう。三年間は長過ぎる。やっぱり新潟は遠いし寮で暮らすなんて間違えたかもしれへん。」と不安な思いで過ごしたことを思い出します。
 最初の夜の思いはそれぞれですが、これから始まる三年間には、たくさんの楽しいこと嬉しいこと、同じくらいの苦しいこと辛いことがあるように思います。45回生のみなさんは、その一つ一つを喜んだり浮かれたり、また時には悲観的に感じながら、ここにいる仲間と乗り越えていくことになります。時間が経つと、先輩たちの厳しさの中にある温かい優しさにもきっと気が付くことが出来るでしょう。寮の先生方の愛情に触れることもたくさんあると思います。「もうアカン。嫌やなぁ。」と思った先に必ず希望があり、待っている仲間がいることを忘れないで下さい。素直な気持ちで、たくさんの経験を受け止めることが出来ることを祈っています。食事や寝る時間だけを見ても、今までの生活とはかなりの変化です。おまけに絶えず周りには、先輩も友だちも側にいて、心が休まらないと感じるかもしれません。 
 でも、その先輩や友だちが、寮の部屋が、家族になり、帰る家に変化していく自分に出会って下さい。そしてその感覚は、何十年たっても心の中にあたたかく残り、忘れられないものだということをみなさんも実感してください。  
 保護者のみなさま、私たちも子どもたちと同じように、心揺れることもあるかもしれません。でも、ここでの成長は三年間が必要だと信じて、色々なことがあっても、歩みがゆっくりとなっても、前に進んでいけるように覚悟と決意で子どもたちをサポートしていきましょう。
 また、信田先生はじめとする寮の先生方、まだ幼さの残る子どもたちですが、どうぞよろしくご指導お願いいたします。上級生のみなさん、45回生を寮生に育ててくださいね。よろしくお願いします。それぞれの子どもたちの敬和生活が実りあるものとなることを祈りつつ、簡単ではございますが保護者代表の挨拶とさせていただいきます。
 2012・4・3 45回生入寮礼拝より





寮生リレー通信  (第 96 回)


【 光風館 】
『スポーツ大会』     M.M(1年生:長野県安曇野市)
 寮に入って一週間と数日が経ちました。まだ少ししか時間は経っていませんが、寮の中ではもう行事が開催されました。それはスポーツ大会です。このスポーツ大会では“大縄跳び”と“手つなぎ鬼”をしました。ルールは簡単でした。のぞみ寮全体を4チームに分け、それぞれの種目で競っていきます。
 大縄跳びでは、チーム全体で息を合わせて何回飛べるかを競いました。長く飛んでいるチームもあれば、1回目でストップしてしまうチームもありました。
 手つなぎ鬼では、先輩方と先生方が鬼になって手つなぎ鬼をしました。捕まる人数が多くなってくると鬼が増えていきます。最終的にみんな逃げられなくなり、捕まりました。
 このスポーツ大会でのぞみ寮の先生方や先輩方、一年生の全員と共にただ縄跳びをして、鬼ごっこをして遊ぶ単純なスポーツ大会でしたが、全員が笑顔でいました。
 まだ友だちとの絆は強いものではありませんが、これからの高校生活でお互いの足りない部分を補い、壁を乗り越えていける、そんな絆を築き上げていきたいです。





【 みぎわ館 】
『スポーツ大会』      F.M(1年・新潟市西区)
 オリエンテーションキャンプから帰ってきた翌日・土曜日の夜に、のぞみ寮に入寮した1年生が全員参加してのスポーツ大会が行われ、大人数で大縄跳びと手つなぎ鬼をしました。大縄跳びはチーム戦となり、本番前に10分間の練習時間が与えられました。練習中緊張してしまい、同じ寮の人たちとばかり話をしていました。でも、みんなで協力して、声を出し一緒に数えたりしながら行う中で、私の前で跳んでいためぐみ館の人たちと話すチャンスを得、意気投合することが出来ました。10分間も大縄を跳びつづけ、息を切らしながらもおしゃべりをするのは結構大変で、相当疲れました。でも、最初のたった10分間で友達が出来ました。その喜びを思えば疲労なんてなんてことなく、ずっと笑顔でいることが出来ました。その日以来、その時仲良くなった人たちとは変わらず…というより、より一層仲良くなれています。
 今回のスポーツ大会で、私は色々なものを得ることが出来ました。挙げるときりがないほどですが、一番印象的だったのは「笑顔」です。みんなで協力しながら大縄を跳び、終った後には「お疲れ~。」「大変だったね~。」と笑顔で知らない者同士が仲良くなり声を掛けあえたり、鬼ごっこで「待て~。逃げるな~!」と、みんな生き生きとした笑顔で走り周ったりしました。そして、そんな輪の中にいた私は、輪の中にいるだけで自然と笑顔になれました。
 でも私は寮に来てから毎日が笑顔の連続です。みんなとの素敵な関わりの中で、もっと素敵な笑顔に出会い、もっと素敵な笑顔になれるように、日々成長していきたいと思っています。





【 めぐみ館 】
   「1年生を迎えて」    Y.Y(2年生:埼玉県飯能市)
 入寮礼拝前日の夜、同室の先輩と私は、どんな子が入って来るのか、ちゃんとルールを上手く伝えられるのか心配していました。特に、電話ダッシュというめぐみ館の中の変わった仕事について、早く覚えてもらうために、分かりやすくどう説明したらいいかと、完全消灯近くまで話していました。
そして入寮当日。この日、2・3年生は始業礼拝もあったのですが、2年生は朝食後に、入寮礼拝の会場準備をしてから学校へと行きました。そしてクラス替えをして寮へ帰ってきたら、既に1年生が何人か外にいて、2年生の緊張は高まりました。時間が来て「もうすぐ1年生が来ます」との放送が流れ、2・3年生は玄関へ出て行き、来るのを楽しみに待ちました。すると、誰かが「来た~!!」と叫び、新1年生は次々にやって来ました。それからは荷物の運搬で廊下は人でいっぱいになり、ひとだんらくしたと思えば、ルールを一つ一つ教えていきました。やっぱり教えるのはすっごく大変で疲れました。
 1番大変なのは、電話ダッシュです。はじめは2年生がお手本を見せます。2日目は説明書きしたものを渡して様子を見ます。そしてオリキャン後、2階の人だけで1・2年ミーティングを開いて、詳しく+少しきつめに教えました。が、次の日、変わらなかったので再度2度目の2階の人だけのミーティングを開きました。それでも、あまり変化が出てこなく、教えるのは大変で体力、神経、を使うものだとつくづく思いました。また、正直なところ、面倒に思われてイライラをぶつけそうにもなったりした時もあります。でも、去年や、今までの先輩たちの誰しもが通ってきた道なのだと思い、ガンバッテ行こうと思うようにいしています。1年生も覚える速さは違うけれども、頑張います。
 1年前、自分も入寮したての時は同じように何度も注意されていました。とても懐かしく思います。2年生になって、1週間が経ち、思った以上に疲れて大変でした。これからもまだまだ大変なことがあると思いますが、頑張っていきます!!!





【 大望館 】
『45回生を迎えて』     S.T(3年生:神奈川県足柄上郡)
 2012年度をスタートして半月が過ぎました。大望館も45回生を18人迎えて総勢44名の大所帯となり、賑やかな毎日となって来ました。入寮してくるときに、緊張した顔をしていた1年生もだんだん寮の雰囲気に慣れてきていて、やっといつもの日々になってきています。
 始めのうちはルールという今までには経験したことのない日々に追われる1年生。これから社会に出ていく時に一番大事になってくるあいさつや礼儀、また一生付きまとう上下関係をこの高校1年生という時期に体に染み込ませるのです。また寮という場所は大勢が集団で生活をする場所なので、もちろん他の人に対しての「気遣い」「心遣い」「思いやり」がとても大切になります。自分一人で生活しているのとは違うので、自分勝手な行動は取れないし、好きな時間に好きな事を出来るわけでもありません。でもそういう経験を乗り越えて成長していくのです。
 また2年生は、わからないことばかりの1年生に対して指導をする立場になり、昨年の自分をも思い出す機会となっています。 あと1年しかない敬和生活、全てが最後になる3年生。敬和での集大成をしっかりとしていかなければいけません。
 1人1人が新たな気持ちを持って生活を初めた2012年度の敬和生活、これからの1年間、それぞれがしっかりと歩んで行きたいです。





< 編集後記 >
 キャンパス内の桜もやさしいかわいい花を咲かせています。澄んだ空に、暖かい日差し、心地いい風…、太夫浜の地にもようやく春が来たことを実感します。
 2012年度は73名もの45回生を迎えられ、また新しく3名もの寮教職員と共にスタートできます事を感謝いたします。
 入寮礼拝以来、1年生も2年生も3年生も、それぞれが忙しい日々を送っています。大きな決断と勇気を持ってやって来た1年生たちも、ようやくペースをつかみ始め、慣れない事だらけだった寮生活も日常となりつつあるように感じます。初めて先輩となった2年生たちは、1年生と出会ったその瞬間から顔つきが凛々しくなり、日を増すごとに頼もしく逞しく急成長しています。3年はさすがの貫録を見せてくれています。引きすぎず出過ぎず、後輩たちに寄り添い導く様は「カッコいい!」がピッタリきます。
 「心を学ぶ場」であるのぞみ寮で、こんな寮生たちと一緒に教職員も喜怒哀楽を共にしながら、刺激し合いながら成長していきたいと思います。 今年度ものぞみ寮教育へのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
みぎわ館担任 森口みち子